芦屋瑞稀(堀北真希)は、アメリカの高校から桜咲学園に編入してきた高校2年生。登校初日、期待に胸膨らませ学校へと向かう瑞稀は、いきなり衝撃的な場面を目の当たりにする。寮から学園までの約30メートルの距離を女子中高生が埋め尽くし、そこを通る男子生徒たちに悲鳴混じりの声援を送っているのだ。男子生徒たちもまんざらでもない様子で手を振り返し、その姿は、まるで凱旋パレードのよう。驚く瑞稀に、そこで写真を撮っている 原秋葉(紺野まひる)が声をかける。原によれば、桜咲学園は生徒を偏差値よりも顔で選ぶイケメン揃いの男子校だが、全寮制のため彼らを拝めるのは、寮から学園までのわずか30メートルの距離だけ。そのため、イケメンたちを狙った“デマチ”と呼ばれるファンが毎朝、こうやって集まってくるのだと言う。
そんな喧騒をすり抜け、転校先となる2年C組の教室へやってくる瑞稀。そこで待っていたのは、 中津秀一(生田斗真)ら男子生徒たちからの手荒い歓迎の儀式だった。からかわれ、ふらつきながらも瑞稀が席に着こうとすると、生徒たちの冷ややかな視線が注がれる。と、そこへひとりの生徒が入ってくる… 佐野泉(小栗旬)だ。その顔を見て、瑞稀は息を呑む。実は、瑞稀はアメリカにいた中学時代に、将来有望な高跳びの選手として活躍する佐野のジャンプを見て感動、以来、大ファンに。しかし、佐野はある事件をきっかけに高跳びを止めていた。そして瑞稀はそんな佐野に再び跳んでほしいと願い、性別を偽り編入してきたのだ。瑞稀のそんな思いなどまったく知らない佐野は、あくまでクールな態度を取る。
全寮制の桜咲学園には、 天王寺恵(石垣佑磨)が率いる格闘系の第一寮、 難波南(水嶋ヒロ)が率いるスポーツ系の第二寮、 オスカー・M・姫島(姜暢雄)が率いる演劇系の第三寮と三つの寮がある。各寮は、間近に迫ったマラソン大会に向け、競い合っていた。なぜなら、優勝者の寮には、全員に土日外泊1年間という特典が与えられるからだ。足が速いとすでに評判の瑞稀の獲得に各寮は必死だ。難波に第二寮を案内してもらっていた瑞稀は、幽霊が見えるという 萱島大樹(山本裕典)に、意味深な笑みで「面白いオーラをしている」と言われ焦る。そんななか、佐野が第二寮だと聞き、即座に入寮。二人は、同室になる。
そんな折、第二寮でマラソン大会の選手を選抜する会議が開かれ、中津、難波、陸上部の 関目京悟(岡田将生)が早々と決定する。自薦するも相手にされない 中央千里(木村了)を尻目に、瑞稀に声がかかるが、ためらっていると中津が佐野を推薦。ケガは治っているから平気なはずだと喧嘩をふっかける。そこで瑞稀は、佐野を助けるために立候補する。部屋に戻った瑞稀が荷物の整理をしていると、佐野が戻ってくる。迷惑そうに話す佐野に瑞稀がどぎまぎしていたとき、持ち上げたダンボールの底が抜け、中から佐野について書かれた記事が出てくる。それを見た佐野は不審がるが、瑞稀は答えられず、とっさに、なぜ高跳びを辞めたのかと、佐野に理由を尋ねる。しかし佐野は、冷たく瑞稀を突き放す。
そして、マラソン大会当日。校庭に勢ぞろいする生徒たちのなかで、瑞稀もウォーミングアップをはじめる。と、そのとき、何者かが瑞稀の足を踏みつける。短距離用の鋭いポイントがついたスパイクで踏まれた瑞稀は、激痛に顔を歪める。シューズにも、うっすらと血の跡が浮かびあがり…。そんななか、校長・ 椿(松田聖子)のピストルの合図で、生徒たちは一斉にスタートを切る。
前夜、マラソン大会で自分が優勝したら高跳びに復帰してほしいと一方的に佐野に約束した瑞稀は、痛みをこらえて走りなんとか先頭をキープする。しかし、次第に痛みは激痛に変わりペースが落ちてくる。並走する中津も瑞稀の異変に気づくが、瑞稀の気合いを感じ止めることはできない。その頃、佐野はトイレにいた第一寮の生徒ふたりが、寮の優勝のために瑞稀を傷つけたと話すのを聞く。
大会も終盤になった頃、選手を別人と入れ替えるという反則をした第三寮が全員失格になり、瑞稀、中津、天王寺の3人の戦いとなる。大勢の生徒たちが待つグラウンドに戻ってきた3人は、熾烈なデッドヒートを繰り広げるが、遂に痛みに耐えられなくなった瑞稀は走るのを諦め、その場に倒れこんでしまう。それを見た中津は足を止め、瑞稀を助けに向かう。と、そこへ、佐野がやってくると、瑞稀を背負って保健室へ連れていく。
瑞稀が目を覚ますと、校医・ 梅田北斗(上川隆也)がいた。どうやら、瑞稀のケガの手当てをして、付き添っていてくれたらしい。ところが梅田は、ベッドの上に起き上がった瑞稀に「男子校に女の子がいるのかな?」と顔をジッと見つめながら言い――。
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